全日本選手権もいよいよシングルスベスト8が出揃いました。ここに、石川佳純、及川瑞基の昨年度の男女優勝者はいません。また、平野美宇、張本智和、宇田幸矢選手等も敗退し、五輪組は丹羽孝希選手と伊藤美誠、早田ひな選手が好調キープで残りましたが、まさに大波乱の1日だったと言えるかもしれません。ただ全日本はそれだけ勝ち進むのが難しい大会で、冷静にみるとこういう結果も十分あるということかもしれませんね。特に五輪組は大会の一年延期もあり、モチベーションの維持も難しかったのではないでしょうか。
こうした中、いつも安定して上位に来る上田仁、吉田雅己のベテラン両選手はまさにいぶし銀のようであり、女子も所謂、メディア請けするような派手さはなくても宋、成本(茉依コーチの先輩)の中国電力のペアは個人的にとても好感が持てます。特に宋さんは今回シングルスの初戦、思わぬ相手に足を掬われましたが、しっかり気持ちを切り替えて得意のダブルスで成本さんとともにセミファイナルまで来るのは流石です。
全日本選手権今まさにたけなわです。今日取り上げたいのは女子の5回戦、スーパーシードの長﨑美袖選手vs. 笹尾明日香選手の両神奈川県勢の対決でした。2人ともTリーグ、同じチーム日本生命で腕を磨いており、長﨑さんはワールドツアーの経験もあります。(私は笹尾さんのお母さんに少し教えてもらったこともあります)
この対決は最初から好カードだと思っておりましたが、やはり予想通り白熱の試合になりました。この試合笹尾選手は、実にアグレッシブに攻めて動きも良く、セットカウント3-2でリードし、第6ゲームも10-9で先にマッチポイントを迎えました。ここで長﨑さんのサーブにレシーブで勝負をかけましたが、惜しくもアウトしてジュース。結局このセットを逆転で長﨑選手がとりフルセットに。そしていよいよ勝負の最終セット、笹尾選手は第6ゲームの逆転負けを引きずることなく、序盤から果敢に攻めて6-2でリード。このまま押し切るかに見えました。ところが、ここから”ナガミユ”こと長﨑選手がスーパーシードの面目躍如とばかりに、何と9連続ポイントを上げ、一気に逆転でケリをつけ勝利をもぎ取りました。
終始押し気味の笹尾明日香選手でしたが、勝負どころで少し力が入ってしまい(無理もありません)、反対に長﨑選手はフォアハンドのスイングスピードを抑えてコントロールと戻りを早くし、得意のしなるバックハンドを全面に出して勝利しました。手首の柔らかい、このサウスポー独特のバックハンドの威力は、全日本いや世界でも最もうまい選手のうちの一人ではないでしょうか。笹尾さんは調子が良過ぎて、最後にこの長﨑さんのバックハンドと打ち合ってしまったことが命取りだったかもしれませんが、それにしてもここまで来ればただただ両者に拍手ですね。本当に素晴らしい、今日のベストゲームでした。😌