Tリーグも今季のクライマックスで、2月27日には、シーズン1位を決める日本生命レッドエルフ vs.日本ペイントマレッツと今季のセミファイナル進出をかける3位争奪戦の木下アビエルvs.九州アスティーダの試合が行われました。
結果は、まず日生が3-1で日ペを圧倒してシーズンの1位を決めてファイナル進出、3位争奪戦では九州がビクトリーマッチの末に3-2で木下を辛くも下し、セミファイナル進出を決めました。
日生は、早田ひな、平野美宇のSクラスの両選手に今季の絶好調の長﨑美袖選手を揃えてまさに横綱相撲。ダブルスを落としてもどこ吹く風といった感じで、日本ペイントをねじ伏せてしまいました。日ペはエース加藤美優選手を欠いていたのが少し残念でした。
さて、今日は3位決定の試合から団体戦について少し考察してみたいと思います。主力メンバーは木下が石川佳純選手と木原美優選手の両エースに若手の張本美和選手を揃えたのに対して、九州は、先にも取り上げた佐藤瞳、橋本帆乃香の両カットマンWエースがまさにこのチームの生命綱と言えます。展開は、第一試合のダブルスを九州の両カットマンが、木下の石川/面手ペアを圧倒して先行。第二試合の木下・張本美和 対 九州・横井咲桜の新鋭同士の対決で、何とフルセットジュースの手に汗握る試合となり、これを横井選手が制して九州が2勝、この段階で勝ち点の計算から3位が九州に決まりました。
その後木下・木原選手が九州・橋本選手を破り、第4試合を木下・石川選手が九州・面田選手を圧倒して2-2となり試合はビクトリーマッチへ。この延長戦は、木下・木原選手と九州・佐藤選手と因縁の対決(今年の全日本選手権ベスト8では木原さんが、0-3のマッポイントを握られたところから奇跡の大逆転で4-3で佐藤さんを破りました)となり、今回は1セット勝負。結果はやはり最後まで接戦となりジュースまで行って、最後に佐藤さんが木原さんを振り切り、九州は結果として有終の形で締めくくりました。
ところでこの試合、木下は4-0か、3-1なら逆転3位となる計算で、もし2-2になればその時点で九州の3位確定という重要な1戦でした。ポイントは第2試合でした。ダブルスはどう考えても九州のカットマンペアが取ると思われており、これは木下もある程度計算にあったと思います。タラレバはもとより承知の上で、もし第二試合の張本さんが横井さんに競り勝っていれば、結果として3-1で勝敗は逆になり、木下がセミファイナル進出を決めていた試合でした。
私はこのオーダーを見た時に九州にとっては少々嫌な組み合わせだと思いました(川面監督がどう思ったかはわかりません)。反対に木下はかなりと思惑通りのオーダーではなかったかと思います。私は九州のエース橋本選手をできれば張本選手に当てたいのが本音で、そうすればもっと楽に3位を掌中にできていたのではと思いました。今季橋本選手はすこぶる調子が良いですが、ご存じの通り木原選手はかなりの実力があり(全日本でもベスト4)、また対戦成績でもやや分が悪いと思っていたところに当たってしまったかなという感じでした。また対石川選手には今季勝っていますが、石川さんは百戦錬磨で大事な試合になればなるほど非常に強くなる傾向があります。結果として横井さんの勝利が大きく、彼女は本当に頑張り素晴らしかったのですが、冷静見ると同じ対戦で次はどうなるかはわからず、やはりまだ計算が立ちません(シーズン通しての戦績はまだまだですが、一方で大事などころで勝つ意外性もあります)。
Tリーグではもともと暗黙の了解があるのか、戦略よりもエース同士をお互いに当てる傾向が比較的強いように思います(その方が会場や視聴者が盛り上がるという点で)が、大事な団体戦の勝負を考えた時には、敢えてエース同士を外す戦略も必要なのかなと思います。相手との相性、その選手の仕上がりの早さ(スロースターターかどうか)、1セット勝負となると誰が良いのか(所謂勝負強さ)等等です。つまりは監督やコーチの手腕によるところが非常に大きいと思います。勿論選手の育成を考えた長期的な視点も当然あるわけですが、実力的には下と思われていても戦略や組み合わせによっては結果が逆になる。この辺りが、団体戦の面白さでもあり難しいところですね🤔